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1897年のアメリカ、深い森に囲まれた数十人が自給自足で暮らす小さな村その村には決して森に入ってはならないという古くからの「掟」があり、村人は森に住むという「怪物」を恐れ、境界線を守って暮らしていた。「掟」を守る限り、森に住む「怪物」が村の平和を破ることはなかったからである。
村長の娘で盲目の女性アイヴィーには寡黙かつ誠実な男性ルシアスと、精神に病を抱えるノアの2人の友人がいた。ある時ルシアスは薬が不足し始めている村のために、森を抜けて他の町へ行きたいと年長者達に相談するが聞き入れてもらえず、その態度に何か隠している事があると単身森へ入り、「怪物」を呼び寄せると言われる「赤色」をした植物を持ち帰る。その晩、赤いローブを着た「怪物」が出現し、やがて奇妙な出来事が勃発している事にルシアスは自分を責めるが、以前からルシアスに好意を抱いていたアイヴィーは愛を告白する。しかしその場面を目撃し、以前よりアイヴィーに想いを寄せていたノアは逆上してルシアスを刺し、ルシアスは重症を負う。彼を救うための薬を求めるために森を抜けたいと村長である父に懇願すると、折れた父はアイヴィーに「村の真実」を伝え、森を抜ける事を許す。森を抜けようとする最中、「怪物」がアイヴィーを襲おうとするも、深い穴に落ち命を落とす。そしてアイヴィーは森の果てにある「壁」へと辿り着き、「壁」の外側の人に薬を書いた手紙を渡し、ルシアスは一命を取り留めた。
実は時代は西暦1897年ではなく2000年代であり、村の在る地は「ウォーカー野生生物保護区」と呼ばれる、村長の父親の遺産によって警備が賄われた私有地であった。村は事故や殺人などで身内の命を奪われた者達によって、争いのない理想郷を作ろうと建てられたものであり、「怪物」や「掟」などはその真実を知らない二世代以降の村人を「外の世界」へ行かせないためだった。そして森でアイヴィーを襲おうとした「怪物」は、ルシアスを刺した罰で地下室に閉じ込められたノアが偶然衣装を発見した後に抜け穴を見つけて脱走、ヤケになってアイヴィーを襲おうと変装したものだった。
ノアの死は年長者だけの秘密とし、「怪物」に襲われた事にする事で「怪物」の信憑性を高めたという皮肉な結果になったのを最後に物語の幕は閉じた。
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